この25年間は自分は何もしていなかった。
いや、20歳までは学校でそれなりに、勉強して来ただろう。高校生まではテストのために一夜漬けとはいえ必死に頑張っていた、と思う。高校卒業後の2年間は、なりたい仕事のために勉強した。そしていまは、そのなりたい仕事、なりたかった仕事につき、また資格のために勉強をしたこともあった。
だが、それ以外は?
20歳からの5年間はただ仕事をして、給料を貰い、それなりに安定した、ご飯を食べて眠くなれば寝る、それだけの生活だった。
唯一と言える趣味、バイク。これは楽しんでいたと思う。誰かと共に走ったことはほぼない。が、一人でも楽しめると強がり、誰とも関わらず走っていた。ただ、なんとなく、走っていた。
それももうやめよう、とふと思った。人と関わるのは辛い、幻滅される、過去の友好関係だけを保っていこう。それは、別にいい。だが、それ以上は何も得られない。
バイクが楽しいのなら、誰かとツーリングに行ってみよう。同僚でもいいし、SNSなどで不特定多数の人と行くのだって、もしかしたら楽しいかもしれない。
バイク以外にもやってみたいことはあったはずだ。例えば、絵を描いてみるだとか、音楽をやってみるだとか。たとえそれがアニメや本、漫画、映画に影響されたものでも。いいじゃないか、やってみれば。
25歳、もう遅いと言い訳して来た。でもやってみたい、ふと思った。
続けばいいし、飽きれば一旦辞めればいい。それで稼いでるわけでもなく、誰かに迷惑を掛けるわけでもないのなら。
何かを、なんでもいい、興味を持ったことを始めてみたい。
自分を信じることはできないが、長く続けられるとも思っていないが、試しにやってみよう。
そう思ってしまった今だった。